コラム 2020/8/5

僕らが生きてきた時代

庭に生える雑草と格闘しながら思うのは、

永久も半ばを過ぎたという事実。

身体にもいろいろな変化があり、昔とは違う。

僕らが生きてきた時代は

今の世の中と比較して大雑把に言うならば

乱暴であり雑であったが人間味のある時代だったと思う。

僕らの世代に最も影響を与えたロックというジャンルは、

その生き方の状態を強く植え付けた。

既製の社会体制、政治体制に対して反対し、変革しようとする力。

これが生きていく中で最も大きな比重を占めていた。

僕らよりも1世代上の方々の方が、

もっとその意識が高いのかもしれない。

1970年代フラワームーブメント、ヒッピーの台頭。

1967年生まれの僕は後にこのヒッピーについて興味を持った。

80年代、音楽はキャンディーポップの時代。

「売れるもの」として商品化された。

90年代、ニルヴァーナの登場

「商業主義はもう終わりだ」とライヴで語り

それまでの煌びやかなスターという商品達を葬った。

ボロボロの服を身に纏い、

世の中の一部をアップグレードさせた事。

絶大な影響力を持ち、リーダーであるカートコバーンは

27歳で自殺した。

「世代」というのは、こういう背景をリアルタイムで

見て、感じてきたタイムラインだと思う。

これは性格や考え方にまで影響してしまう。

今、20代の人には20代の、

30代の人には30代のタイムラインがあり

この年代の人達に50代のタイムラインを話してもわからないし、

僕らが20代の人達の

リアルなタイムラインを聞いてもピンとこない。

ただ、今起きている事は

全世界、全年代の生きている人達に共通している。

そして、このコロナウィルスが世界を変えてしまった事。

それをリアルタイムで見ているのだ。

ものすごく小さな世界である僕らの業界でも

試食販売の禁止、施設によっては対面販売の禁止

そんな事態にもなっている。

ネットを見れば、そしてテレビを見れば

様々な情報が飛び交い、どれが本当かもわからない。

しかし、

起きてもいない未来に対して不安ばかり抱えていても

仕方がない。

変わりゆくものの中にいて

日々、その事に水の流れのように対応する。

しかし、

自分自身という一番大切なものを置き去りにしないように。

パンクロック、グランジ、オルタナティブ、ブリッドポップ

様々なジャンルの暴れまくった僕と同年代のミュージシャンが

今になって共通して言っている事は「愛」だと気づく。

元ミッシェルガンエレファントのチバユウスケ さんの言葉を借りるなら

愚痴ってばっかいねえで愛で塗りつぶせと言った表現だ。

急速に秩序やルールが変更されてしまう世界。

映画を観ているような毎日。

そんな中で、僕らの世代ができるちっぽけな何かはないだろうか。

ボブ・マーリーのRedemption Song。「恐れるなかれ」とこの曲は伝える。そして「あなたの存在は、世界の大国、破壊力、悪によって左右されてはならない。あなたの目的は権力者ではなく、全能の神によって形作られる。あなたのヒーロー達は亡くなるかも知れない、あなたは抑圧されるかも知れない、間違ったことが起こるのを阻止できないと感じるかも知れないが、宇宙はそれよりも大きい。この曲に参加するんだ。あなたはその心と魂を解放させる力を持っている。あなたは贖われるだろう」歌っているのは、様々なミュージシャンに影響を与えてきたザ・クラッシュのJoe Strummer